
音の始源を求めて 16 石井眞木(2/CD)Electronic Convergence
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石井眞木が描いた、
電子音楽ではない電子音楽。
実験ではなく、音楽としての電子音。
<再生曲目紹介>
波紋(1965)
NHK電子音楽スタジオで制作された初期作でありながら、「電子音楽」という語が想起する前景化や断絶を意図的に避けた作品。ヴァイオリン、室内アンサンブル、テープ音響は対立せず、音色と残響の推移を通して時間の感覚そのものに作用。電子音を特権化せず、器楽と等価な音素材として扱う石井眞木の姿勢は、この時点ですでに明確。
饗応(1968)
電子音と器楽の関係を方法論のレベルで徹底的に追究した作品。内部奏法を含むマルチピアノの音は電子的に変調され、時間的・空間的に再配置されることでオーケストラと交錯。石井眞木が重視したのは、電子音を無機的な処理に留めず、演奏行為と不可分な「呼吸」や「リズム」を内在させること。
螺旋 I(1969)
電子音と器楽に加え、声明や伝統的打楽器といった古層の音素材を取り込み、文化的時間を明確に意識した作品。
電子的操作によって加工された音は、純粋電子音と並置され、東洋/西洋、新/旧といった対立を相対化。
反復と変形によって形成される螺旋状の構造は、時間を進行ではなく位相の移行として知覚させる。
旋転(1971)
《螺旋》シリーズの延長上で構想された、打楽器独奏と電子音響のための作品。
打楽器演奏は固定された型に従わず、瞬間的な選択や長い反復によって音楽が立ち上がる。
電子音は伴奏でも効果音でもなく、演奏行為に応答しながら音響全体を旋回運動へと導く存在として機能。
アニメアマーレ(1974)
ハープ演奏を主素材として電子音響を構成した、石井眞木の成熟期を示す作品。
ドデカフォニックな音形から三和音的分散音まで、多様なハープ奏法が展開され、それに呼応する電子音は、独立した層ではなく演奏の延長として空間に広がっていく。ここでの電子音は効果的に付加される存在ではなく、ハープ音の響きを内側から拡張するものとして機能。
ハープと電子音が区別なく溶け合うその在り方に、石井眞木が到達した一つの完成形を見ることができます。
遭遇Ⅲ(玄―墨の造化―)1973
〈遭遇〉シリーズでは、異なる音世界があらかじめ独立したまま配置され、偶然性を孕みつつ交差する過程そのものが音楽の生成原理となる。遭遇Ⅲでは、尺八を中心に、雅楽的響きや電子音響的処理を含む音素材が重層的に組み合わされ、即物的な音の存在感と流動する時間意識が強く前景化されている。ここでは東西の対立が目的化されることはなく、異質な音が出会い、反応し、変質していくその過程自体が音楽として立ち上がる。




